ゆたんぽを抱いて寝る。

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読書記「湖底ゆらめく最果て図書館」冬月いろり/Namie(電撃文庫)

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まさか続刊出るとは思ってなかった

第25回電撃大賞銀賞受賞作「鏡のむこうの最果て図書館」シリーズ第二作にあたる本作「湖底ゆらめく最果ての図書館」を読みました。

率直な感想としては、どこまでもあったかくて、優しくて、透き通るような気持ちの良さに酔いしれることができる作品だなというところです。第一作「鏡のむこうの最果ての図書館」では魔法の鏡を通じて徐々に近づいていく主人公ウォレスと魔女見習いルチアの物語を描きながら、そこにリィリも混ざって、次第に勇者と魔王の秘密に迫っていくというものでした。これは作者である冬月先生が本作「湖底ゆらめく~」のあとがきでも書かれているので許されると思って書きますが、正直続刊が出るとは思っていませんでした。だって、あんなに綺麗にまとまって終わったんですもの。

だから、二作目が出ていることを知った時はとてつもなく驚きましたし、遅ればせながら書店で手に入れ、こうして読み終えることが出来ました。

例によって読み終えてまだ一日も経っていない、非常に荒削りな感想になりますのでなにとぞご容赦を。

 

出てくる人たちがみんな優しくてあったかいのが最果ての図書館のいいところ

本作では新たにケルベロスの間で剣に突き刺さった状態で登場したヒルデ、博物館の館長マリーアンジュの2名が重要キャラとして登場します。あとは、トレジャーハンターのロッソもですね。ウォレスやルチアはもちろん、リィリも含め最果ての図書館に出てくる人物はみんな優しくてあったかくて、読んでいてどんどん愛おしくなってきます。ネタバレしないように書きますが、そりゃあそれぞれいろんな目的や過去があるわけで、ぱっと見「そりゃあアカンでしょ」というようなことをやったりやらなかったりしてます。だけど、それは決して他人を苦しめようとしてやったことじゃなくて、ちゃんと理由があって。それも、誰かのことを思って、誰かのためにやったことが、結果的にちょっと悪い方向に転がっていってしまっただけのことで。

ウォレスが誰にでも優しいという性格なのはもちろんですが、きっとそういうところもウォレスはきちんと見抜いていたのかなぁと読みながら感じました。半ば強引に図書館に侵入してきたロッソに対しても決して怪我をさせないよう魔物に釘を差したり、イタズラ好きの魔物であっても必要以上に痛い目に遭わせないようリィリに注意を促したり。そういう、傍から見たら甘っちょろくて、でも他人思いなウォレスは読んでいてとても好感が持てました。ああいう主人公にとても弱いLITさんなのです。

前作からの登場人物つながりで言えば、本作では特にリィリの成長が著しかったですね。もともと感情というものを失っていたリィリでしたが、ウォレスと一緒に暮らしていく中で徐々に感情というものを取り戻してきているような場面が要所要所で見られました。今作での見どころは、特に博物館のある国へ行った時。扉絵にもなってますが、あの場面は本当に読んでいてニヤニヤ、そしてほんわかするような場面でした。前作からリィリは筆者のお気に入りキャラでしたが、あの場面を読んで更に好きになりましたね。

さて、新キャラにも触れておかなきゃいけませんね。まずはロッソ。いやぁ、ほんっといいキャラしてる。こういういい意味でのバカっぽい一直線なキャラ、そういえばまだこのシリーズにはいませんでしたね。ウォレスは優しい主人公気質だけどここまでの熱量持ってないですし、勇者様はあの通りちょっとまだ頼りない部分があったりなかったりするし。主人公たちよりちょっぴり年上で、可愛い女の子に目がなくて、それでピンチに陥ることになっても、それでも笑って風にのって参上する。今回限りではもったいないくらいいいキャラしてるなぁと感じる、そんなキャラでしたね。

ヒルデとマリーアンジュについては、やっぱりセットで語らなきゃなぁと思ってました。ネタバレしたくないので色々伏せながらになっちゃいますが、最終的にこの二人の関係が明らかになって、お互いがお互いのことを思いながらやった結果がたまたまこういう物語になったんだなぁって思ったら、なんだか自然と涙が溢れてきました。特に、ラストの二人の会話はもう涙で文字が見えないくらいにあったかくて、優しいふたりの世界がそこに広がっていました。決して幸せなことばかりではなかったヒルデとマリーアンジュの過去。だけど、辛くて悲しい過去の中で二人は出会って、ちょっとずつ幸せになっていって、そしてこれからはもっと幸せな未来が待っているんだなって思ったら、本当にぐっと来てしまってお昼休み中だというのに目を腫らして泣いてしまいました。もちろん、そのためにウォレスが知恵を絞って、ルチアやロッソやリィリの協力があったからこそ辿り着けた一つの結末だったんでしょうね。

 

冬月いろり先生の文章について

筆者は専門家でもプロの物書きでもレビュアーでもないただの読者ですが、冬月いろり先生の文章は非常にまっすぐで、クセのない読みやすい文章だなと感じました。くどすぎずさっぱりしすぎず非常に丁度いい文章で、サクサク読めてしまいます。今シリーズのようなファンタジーの世界を丁寧に丁寧に描く力は非常に高く、魔物が勝手気ままに動き回る騒がしい図書館の様子や、ちょっと暗くて不気味な地下の世界の空気感が手にとるように伝わってくるんですよね。全体的にやわらかくて優しい表現が多く、それが作品や登場人物に反映されているような気がしました。どうやら3巻も出るようなので、そちらも期待しながら待ちたいと思います。

 

鏡のむこうの最果て図書館 光の勇者と偽りの魔王 (電撃文庫)

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湖底ゆらめく最果て図書館 光の勇者と涙する姫君 (電撃文庫)

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