ゆたんぽを抱いて寝る。

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読書記「なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか7」細音啓/neco(MF文庫J)

大変良き展開でした

 

7巻も大変良き展開でした

MF文庫から絶賛発売中、細音啓先生の「なぜ僕」の最新作を読み終えた。

前作「世界の終わりの世界録」に続いてヒット作となっている本シリーズだが、本当に毎回面白くて読み始めると一気に読んでしまう。練りに練られた脚本、魅力的なキャラクター、どれをとっても本当に魅力的で、誰にでも勧めたくなる作品になっているように筆者は思う。

 

「誰も居なくなってから」が本番なのが細音ワールドの魅力

6巻までで、人間(と機鋼種)を除く種族がピラミッドに封印されてしまった。

仮初の平和に見せかけた世界で、しかしカイだけは違和感に気がついていた。なにより、大切な仲間すらも封印されてしまった世界が本当に人類にとって幸せな世界と言えるのか。苦悩の末、カイは再び立ち上がることを決意した。それはすなわち、人間以外の種族を開放することである。

前作「世界の終わりの世界録」でも同じように主人公PTが一度バラバラになってしまう場面があった。それをレンは再びひとつにまとめあげ最後の戦いに挑むことになるのだが、今作も同じようなニオイがプンプンしてきた。そして筆者はこの展開が非常に大好物なのである。それも、キーになるのが2巻で切除器官によって石化したままになっていた蛮神族の英雄・主天アルフレイヤだというから驚きなんてものじゃない。

切除器官の力で石化していた主天・アルフレイヤ。その復活にコードホルダーを使うなんて誰が思いついただろうか。おそらく、2巻時点でのカイなら気付くはずがなかった。でも、あれからたくさんの経験を重ねコードホルダーについての知識を蓄えた今のカイだからこそ、この方法に行き着くことが出来たのだ。この、時間と経験による成長の描写が今回すごく良かった。強大な敵に襲われながらもなんとか復活を遂げた主天・アルフレイヤ。悪魔の英雄ヴァネッサもそうだったのだが、英雄クラスがめちゃくちゃカッコいい。圧倒的な法力の差。これぞ英雄、と言った感じ。そこに痺れる憧れる。今回はひたすらアルフレイヤ様カッコいいばかり言っていた気がする。

 

無主地に眠るシドの秘密

今回、地図上にあまりに広すぎる無主地があることが引っかかっていたカイであったが、まさかそここそが敵が潜む場所だったとは思わなかった。そしてそこへ行くのに使われたのが2巻で登場した蛮神族の移動要塞だとは……。この辺で何故か蛮神族だけは全員が封印されていたわけじゃないということと、その理由が明かされるのだが、この辺の作り込みが本当に上手いなぁと感心してしまった。英雄を封印した他の種族と違い、石化していたアルフレイヤは封印を逃れた。英雄の封印を免れた蛮神族はすなわち全員が封印されることを運良く逃れた、というものなのだが、この物語上の偶然がぐいぐい物語の核心に食い込んでくるの、ホント細音先生上手いなぁ。

そして無主地で明かされる一人のシドに関する秘密。

ははぁ、こういうところでちょっとずつ今まで不透明だったシドに関する情報も明かされていくんだぁ。

なんてことを思っていたら、またしても強敵との戦闘。今度は主天アルフレイヤも戦闘に加わることになるんだけど、これがまぁーーかっこよくて強い。この段違いな強さは前作における竜姫や天使、悪魔のヒロインたちを彷彿とさせる。ぶっ飛んだ強さなんだけど、決してご都合主義のチートじゃなくてちゃんと理由付けがされているから安心してその強さに心酔できる。こういうところが細音先生の作品は素晴らしい。

毎度毎度死闘を繰り広げているカイ達ではあったが、今回も総力戦と言ったご様子。特に今まではリンネが戦闘の要を務めていたりちょっと前であればヴァネッサや六元鏡光と言った英雄クラスが戦闘の華を咲かせていたが、今回は蛮神族の力の見せ所と言ったご様子。レーレーンは今までどっちかって言うとバッファ的なポジションだったからね、その分アルフレイヤの強さが際立ってすごく良かった。

 

8巻はもうすぐ発売

7巻は本当ならば夏頃に出る予定だったらしいのだが、諸事情により秋に伸びてしまった。その分、8巻はほぼほぼ仕上がっているらしい。出来れば12月にでも出てくれると正月にじっくり読めるので嬉しいが、こればっかりは出るのを待つしかない。

相変わらず売れ行きは好調でコミカライズや電子版も売れているようなので、気になった人は手に取りやすい媒体で読んでみるといいかもしれない。細音作品は本当に面白いので、ぜひ。

 

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