長い名前と言えばこの人
物語が変わってしまう前に
民放連のCMで使われているフレーズです。よくラジオを聞いていると耳にします。
地球温暖化やめようね、という内容が込められたコチラのCM。なかなかにメッセージ性の強いCMなのは、さすが民放連といったところでしょうか。ACとか民放連みたいなちょっとお固めのCMが多いのも、ラジオならではという印象がありますね。
ところで、「物語が変わってしまう前に」なーんて言いながら地球環境を守ろうと言ってるわけですが……
そもそも、もう物語変わってない?
と、ひねくれた大人の筆者は思うわけです。
桃太郎なんてのはそのいい例です。
おばあさんが皮から拾ってきた桃を割ってみると、中から男の子が……なーんて有名なストーリーですが、これが既に改変後のお話なのはトリビアの泉世代の皆さんならよくご存知かと思います。
そうなんです。物語なんてのは割とその時代の中で勝手気ままに変わっていってるんですよ。この桃太郎、最近では更に変わって最後は鬼を退治するんじゃなくて平和的に解決する……みたいなエンドもあるとかないとか。
いや、そこはちゃんと懲らしめて金銀財宝をぶん取って欲しいんですが……
じゅげむじゅげむ
生まれた子どもにどんな名前をつけようという話になり、寺の和尚さんにきいたところ、それなら縁起のいい名前にしようじゃないかと。あれも良いこれも良いと悩んだ末に夫婦が選んだのは、候補の名前を全部つなぎ合わせてしまおうというものでした。
それが「寿限無寿限無五劫の擦り切れ海砂利水魚水行末運来松風来末食う寝る処に住む処藪やぶら柑子こうじの藪柑子パイポパイポパイポのシューリンガンシューリンガンのグーリンダイポンポコピーのポンポコナーの長久命の長助」という大変に長い名前です。
これがまぁ名前を呼ぶのも一苦労で、ある日遊んでいて怪我をしたのを見た友達が慌てて駆け込んできて「大変だー、寿限無寿限無五劫の擦り切れ海砂利水魚水行末運来松風来末食う寝る処に住む処藪やぶら柑子こうじの藪柑子パイポパイポパイポのシューリンガンシューリンガンのグーリンダイポンポコピーのポンポコナーの長久命の長助が転んでたんこぶ作っちまった!」と言っているうちにたんこぶが引っ込んでしまったとか、まぁ色々と起きるという、そんな噺。
自慢じゃありませんが、筆者はこの寿限無の名前を全部ソラで言えます。それはそれとして、いろんな落語で聞いている寿限無のストーリーと筆者が知っているストーリー、微妙に違うんですよね。
これは子供の頃に読んでもらった絵本か、あるいは小学校の時に学芸会で見た演劇だったかどっちかなんですが、この寿限無寿限無五劫の擦り切れ海砂利水魚水行末運来松風来末食う寝る処に住む処藪やぶら柑子こうじの藪柑子パイポパイポパイポのシューリンガンシューリンガンのグーリンダイポンポコピーのポンポコナーの長久命の長助の上には実は早くに亡くなってしまった子どもが居たという設定なんです。その子が「チョイ」という短い名前だったのがいけない。そう思った夫婦が長い名前をつけた、みたいなバックストーリーがあった気がするんです。しかも、サゲは溺れた寿限無寿限無五劫の擦り切れ海砂利水魚水行末運来松風来末食う寝る処に住む処藪やぶら柑子こうじの藪柑子パイポパイポパイポのシューリンガンシューリンガンのグーリンダイポンポコピーのポンポコナーの長久命の長助の名前が長すぎて助ける頃には溺れ死んでしまった、というちょっと後味悪い物だった気が。でも、どこにもその設定の噺が転がってない。はて、あれは夢だったのかなんなのか……
調べたら、ニコニコ大百科では筆者が見たバージョンも触れられてましたが、ソースはわからず。
コメント見る限り、こういうサゲをやる噺家さんもいるんでしょうけど、なにしろ寿限無自体が前座噺。こういうちょっとブラックなサゲを高座で見たよという方はご一報くださいませ。