大変良いイベントでした
寄席は今日も元気にやってます
こんばんは、好きな噺は新聞記事のLITさんです。
名人の芸っていうのは何度聞いてもサゲが分かってても面白いから不思議なものです。
相変わらず緊急事態なんちゃらが続いてる東京ですが、そんな中でも寄席は頑張って開いてます。席を減らして換気をしながらという見る方も演る方もしんどい環境ではありますが、それでも寄席で見る演芸っていうのは良いものです。
新宿末廣亭では一昨日から桂宮治師匠の真打披露公演が始まりました。十日間の末廣亭を終えると次は浅草演芸ホール、池袋演芸場と襷をつないでいくわけです。筆者はこの真打披露というのが大変に好きでして。普段のまったりとした寄席も勿論好きだし、20人も入ってたかどうかみたいな日に行ったりもしてますが、やっぱり真打披露公演は特別な盛り上がりがあっていいですよね。
あまり大きな声では言えませんが、どこかで筆者も足を運べそうな気がしてます。
思えば小痴楽師匠、鯉八師匠と成金メンバー*1の真打披露に上手くスケジュールを合わせられている筆者。さすがに人気がおかしいことになってる伯山先生の真打披露はムリでしたが、なんだかんだこうやって不思議な縁に恵まれてるなぁと思ってます。
アニメから入った人も一度ふらりと寄席に行ってほしい
去る1月31日。浅草演芸ホールでアニメ「昭和元禄落語心中」のイベント寄席が開催されました。アニメのイベントと銘打ってはいますが、ガチの落語会です。実際に浅草演芸ホールで見ることも出来たし、オンラインで見ることも出来ました。
※配信期間は終了してます。
筆者も1人の落語好きとして、また落語心中という非常に良いアニメのファンとしてオンラインで寄席を見てきました。
開口一番は古今亭文菊師匠。
あくび指南という噺を演ったわけですが、この噺自体が非常に面白い、というかどこかネジのぶっ飛んだ噺なんですよね。お稽古事が非常に盛んだった江戸の街において、あくびの稽古があるっていう設定からして初見の人にしてみれば「????」です。
筆者もあくびの稽古を頑張って仕事中にプロのあくびを見せつけたいものですね。
続いては隅田川馬石師匠の大工調べ(の前半)。
おとぼけの与太郎が出てくれば一気に落語の世界。この噺の面白いところは大家相手に棟梁が喧嘩をふっかけて怒涛の勢いで啖呵を切るところなんですが、馬石師匠の見事な啖呵は見ていてホントに気持ちが良かったです。与太郎もホントにダメなやつなんですが、不思議と見ていて憎めないところがいいんですよね。
中入り前最後に高座に上がるのは古今亭菊之丞師匠。
1巻の表紙に似せるためだけに黒紋付を着てきたという仕込みっぷりに笑いました。
この日かけたのは明烏。あまりに遊びを知らないガリ勉の若旦那が騙されて遊郭に連れて行かれるっていう噺なんですが、本当に菊之丞師匠の演じる女性のエロいことエロいこと。いろんな噺家さんがいますが、本当に艶やかな口調で話すのが印象的でした。
中入りを挟んで登場したのは有楽亭与太郎ことご存知声優の関智一さん。
かけた噺は出来心。泥棒の噺なんですけど、聞き始めてびっくりしちゃいました。アニメの放送が終わってからもちゃんと落語を好きでいてくれたんだろうなぁというのがよくわかる、噺家らしい落語になってたように感じました。たくさん稽古したんだろうなぁというのがひしひしと伝わってきましたね。良いもの見ました。
その後、トリを務める柳家喬太郎師匠との対談。
キョンキョンがいつもの感じで配信だってことを時折忘れながら調子よく喋るのが非常に面白くて、それでも最後の方は演技について、落語について深い話が聞けてよかったです。
寄席と言えば色物さんも欠かせない。ということでトリの前は三味線の柳家小菊師匠。
三味線の音色をちゃんと聞くようになったのって、寄席に足を運ぶようになってからかなぁと思います。三味線とか琴のような日本の伝統芸能を使って目の前のお客さんを楽しませる。改めてすごいなぁと思いました。
トリに上がるのは、勿論この人柳家喬太郎師匠。
落語心中の寄席で喬太郎師匠が高座に上がってかける噺と来たら、そりゃあもう死神しかありませんよね。いろんな噺家さんの死神を聞いてますが、この噺ってホントに手をグッと握りながら聞いちゃうんですよね。空気感とか絶妙な静けさとかがたまらなく好き。不思議な話、死神なんて誰も見たことないじゃないですか。それなのに、パッと死神が頭に思い浮かんじゃうからすごい。
気が付いたら3時間あっという間に過ぎてました。
本当に素晴らしい寄席でした。個人的な話をすると、いつもは寄席は落語芸術協会の寄席ばかり行ってるので普段お目にかからない噺家さんが見られてよかったです。いつか例の病魔が収束したら、満員の浅草演芸ホールでもう1回このイベントやってほしいですねぇ。