いいお店です
今日のヤクルト試合結果
は、本日もヤクルトは試合がないのでおやすみ。実際問題、明日が健康診断なので今日はお酒飲めないマンなんですけどね。その分明日はしこたま飲もうと思いますので、なんとか勝ってほしいものです。
それはそれとして、
2軍の試合がひでぇのなんのって。ちなみに2軍(イースタン・リーグ)はダントツ最下位を走っております、ハイ。
本家が1番濃いってそれ1番言われてるから
「国境のトンネルを抜けると雪国であった」
川端康成の小説「雪国」の有名な書き出しだ。おそらく日本で1,2を争うくらい有名な書き出し。対抗できるのは「吾輩は猫である、名前はまだない」くらいだろう。夏目漱石先生も川端康成まさか後世まで自分の小説の書き出しが語り継がれるとは思ってなかっただろうに。
そんな超有名な「雪国」の名を関するカクテルをご存知だろうか。
カクテルが好きな人なら一度は耳に、そして口にしたことがあるであろうショートカクテル「雪国」
美しい見た目と爽やかな口当たりがクセになるこのカクテルが、日本海側の片田舎の小さなバーで生まれた事を知っている人はどれくらい居るだろうか。井山計一、95歳。5月10日にこの世を去った彼が手ずから作った雪国をこの舌で味わうことが出来たのは、恐らくこの先どこへ行っても自慢になることだろう。
いつ行っても気さくで人柄の良さが一発で分かるマスターだった。幾つになってもバーテン、いつだって白のシャツにベスト、蝶ネクタイというスタイルがいつまでも似合っていた。
気心知れた友人同士、居酒屋で馬鹿みたいに飲み食いしてその後に「じゃあケルンでも行くか」と足を運ぶのが恒例で。冗談めいて「生きてるうちに行っとかないと」なんて言ってたものだが、いざその日がやってくるとなんとも言えない不思議な感覚に襲われる。
50年以上も店に立ち、亡くなる寸前までカウンターでカクテルを作り続けたマスター。色んな話をしたものだが、かつてこんな話をしたのを覚えている。
「弟子とか取らないんです?」
誰だったか忘れたが、マスターにそんなことを聞いたやつが居る。年齢を考えたらたしかに弟子と呼べる存在が居ても可笑しくない。誰もがそう思うことだ。
「昔は取ってたんだけどな」
マスターは物憂げな表情で一息ついたあと、ボソッと続けた。
「もう取らねぇことにしたんだよ。みんな先に死んじまうからよ」
90歳を超えた人間の言葉の重みである。いやまぁこの時は大爆笑だったわけだが。そんな、いつでも面白くておちゃめなマスターだった。そんなマスターが作った雪国。スタンダードカクテルが世代を超えて定着するというのは、相当難しいことらしい。誰でも作れるレシピ、誰でも作れる簡単な作り方。だからこそ定番には成りづらいのだという。そんなスタンダードカクテルを日本人が、それも地元の小さなバーのマスターが作ったと思うと、本当に誇らしく思う。マスターはもう居ないが、マスターの残したカクテルは残り続ける。
近いうちに、近所の行きつけのバーで雪国を飲もう。ウォッカ強めのマスター仕様で、マスターの冥福を祈りつつ。