冷静に考えて死神も超大ネタなんですよね。LITさんはやっぱり談志師匠のが好きです
ライブの醍醐味
最近、散歩しつつYoutubeで名人の落語を聞くのがお気に入りなLITさんです。
昭和の大名人と呼ばれた、ご存知古今亭志ん朝師匠。
何年も寄席に通いYoutubeでたくさんの噺を聞き、ようやく古今亭志ん朝という噺家の凄さに気づけたような、最近そんなことを思います。と同時に、気安く落語を聞き始めた人には勧められないかなぁとも思ってみたり。
別に玄人ぶるつもりはないんです。ただ、単純にネットで簡単に見つかる志ん朝モノは大ネタが多い。上に貼った「もう半分」然り、「芝浜」「唐茄子屋政談」「化け物使い」どれも30分を超える大ネタです。やっぱり、聞き始めるならもっととっつきやすい、ゲラゲラと笑える短い滑稽噺の方が良いと思うんですよね。かくいう筆者も、落語聞き始めた頃に志ん朝モノに挑戦したんですが、途中で疲れちゃいました。そういうものなんでしょう。
で、一通り耳と頭が慣れた頃に聞くと……まぁーやべぇなこの人と(それはそう)。
ちなみに、「もう半分」は筆者が尊敬して止まない当代の桂文治師匠の噺を聞いたのが初めてでした。先日も浅草で高座を見させていただいたんですが、本当に快活で豪快で、滑稽噺がよく似合う粋な人なんですよね。
「鈴ヶ森」「親子酒」笑える噺や耳によく残る噺が多いのは(十代目)文治一門の特徴なのかもしれません。そんな文治師匠の落語なんですが、この間浅草演芸ホールで聞いていた時のこと……
この日かけたのは、「代書屋」という有名な古典落語。
今ほど識字率が良くなかった江戸の時代。文字がかけない人に代わって文書を書いたり手紙をしたためたりする「代書屋」という仕事があったんだそうです。そんな代書屋に1人のお調子者が駆け込んでくる……というところから噺は始まるわけですが、この日は小さなお子さんが親子連れで寄席に来てたんですよ。
落語ブームとは別にしても、割と珍しい光景じゃありません。親御さんが落語好きで連れてこられる、なんてパターンが多いんでしょう。途中ですっかり飽きちゃって眠ったりあちこちきょろきょろしていたりすることが多いんですが、この日来てた子はすごくしっかりと聞く子でして。ちゃんと笑えるポイントで笑ってるんですよ。いやぁ子供だからとバカにするわけじゃありませんが、そんな年の子でもちゃんと笑えるように出来てるんだから落語は凄いなというのと、お子さんからお年寄りまで笑わせる噺が出来るっていうのは、やっぱ名人てのはすごいもんだなぁと思った次第です。
生の舞台の醍醐味っていうのはこういうものなんですよね。CDやYoutubeで何度も聞くことが出来ると言っても、やっぱり寄席や独演会で見せるその一席は、もうその一席しかないわけで。そういう1回きりを楽しみに出来るっていうのが、やっぱり寄席のいいところなんだなぁと改めて思いました。
途中、ケラケラ笑ってるお子さんに気付いたのか「子どもが笑ってるじゃねぇか」ってくすぐりを入れてくれるあたり、文治師匠の人柄がよくわかります。ほっこりとした、そんな代書屋でしたとさ。