ゆたんぽを抱いて寝る。

ゆたんぽを抱いて寝る。

猫のこと、本のこと、アニメのこと、野球のことetc...思いついたまま、気の向くままに。

ゆたんぽを抱いて寝る。

どうせ秋M3に参加するなら人類は7uta.comの春M3最新作「透明な君を掬う」を聞いてから来ればいい

f:id:l-i-t:20211028233752p:plain

夜に聞きたいアルバムですよね

 

感想をまとめるのに半年かかりました

こんばんは、LITさんもしくはlitorumanさんです。正直どっちでもいいんですが、一応ブログではLITさんです。

 

気がつけばM3まで残り2日。みなさん、感染対策とルールをしっかり頭に叩き込んで会場に向かいましょうね。そして、せっかく会場に足を運ぶのなら、筆者おすすめのサークルをひとつ紹介しておきたいんです。

それが、歌い手のnayutaさんが主催の「7uta.com」

www.7uta.com

nayutaさんの個人サイト兼サークル名になっている7uta.comですが、オリジナルCDを制作してもう6年になります。ここ数年は特に、特定の音楽家とタッグを組んで一つのコンセプトを持って作られたCDが多く、歌声も相まって非常にお気に入りのサークルとなっています。

そして、読者諸兄の中でM3に行くよ! ネットのM3に参加するよ! という人が居たら春M3で頒布された「透明な君を掬う」を聞いていただきたい。この「透明な君を掬う」何が凄いって、全曲書き下ろしな上に全曲nayutaさんが作詞を手掛けているという、7uta.com初めての試みが詰まった一枚なんです。詞については後ほどたっぷり語るとして、聞いたことがないと言う人は手始めに各種サブスクで一度聞いて下さい。今日の記事はそれからです。

www.youtube.com

open.spotify.com

 

さて、聴きましたね?

 

では、以下筆者の感想と妄想と願望が入り混じったあれこれになりますので、気にしないよと言う人はお進み下さい。

 

 

 

 

 

 

 

少しずつ夜が明けていく様子が目に浮かんでくる楽曲、歌声に感動した

1.透明な君

ピアノ主体の非常にシンプルな音の中に、nayutaさんの声が響き渡ります。目をつぶると、真っ暗な海に1人佇む女の子の姿が浮かんでくるようです。静かに、憂いを帯びた歌声。Aメロ、Bメロと徐々に音が増えていって、それがサビで一気に爆発する。それに合わせるかのごとく、感情が溢れたようにnayutaさんの歌声にも力が入っていく。悲哀の感情がこれでもかというくらい、押し寄せる波のように襲いかかってくる。最初聞いた時は、1番聞いて一度止めました。それくらいエネルギーの要るとんでもない曲でしたね。

そしてこの歌の一番好きなところが、ラストなんですよ。君を喪った悲しみを感じながらも、そこで諦めるんじゃなく悲しみに暮れるんじゃなく「ふたりで探しに行く」というんだから。これだけ哀しさに晒されていた歌が、「さあ行こう」で終わるのってすごく素敵だなって思いました。

 

2.誰そ彼

寂寥感、という言葉がピッタリの曲だなと感じました。溢れる後悔と情けなさを抱え、消えることを選択した人の物語。歌詞自体は透明な君の方が悲しみに溢れているはずなのに、誰そ彼の方が聞いていて心臓が締め付けられるような気持ちになるのはなぜなんだろう。そう感じさせる力が、表現力がnayutaさんの歌なんだなと思うし、自身で手掛けた歌詞だけにより一層世界観を広げているのでしょう。

最後の「黄昏に消え 忘れていく」ここの本当に消え入りそうな歌声とその後の余韻がたまらなくて。いや、違うな。本当に消えてしまったんでしょうね。

 

3.追慕

どんなに悲しみに包まれても、時間とともに記憶が薄れてしまっても、変わらないものがある。それが歌で、”私”は歌い続けていく。悲しみに溺れそうになりながら、それでも前に進むんだという”私”の思いが詰まった優しくて強い曲でした。力強くて、それでいて優しく、行く先を照らしてくれるような歌と音源。歌の持つ力を知っている、歌い手ならではの視点で描かれた”私”の歌であると同時にnayutaさん自身の歌に対する姿勢なのかもしれないな、なんて思いました。

猫を亡くしてからというもの、こういう喪った誰かを歌った曲を聞くとグッとなってしまいますね、ほんと。

 

4.僕が見つけた綻び

アルバム全体を見ても、頭一つ抜きん出て明るい曲調と相反するように突き刺さるような歌詞のギャップがたまらない曲。出だしがまず凄い。生きる理由を考えたと思ったら、同じノリで死ぬ理由も考えちゃってる。それをサラッとなんてことないみたいな装いで歌ってるから、それもまた面白くて。でも、なんとなくわかるなぁという気もしてしまうから困るんですよね。歌ってる通り、世界って本当に矛盾だらけで嘘つきで残酷で不平等なんですよ。そうなんですよ。若い時って、思いつきであー死のうかなーみたいなそういう気分になるものなんですよ、きっと。

この曲って、時間軸的には今より少し、あるいは随分と前なのかなと聞いていて思いました。まぁ、それについては後述するのでそこで。

 

5.灰燼

”私”の気持ちと目線はここで改めて、あるいは初めて”君”に向くんですよね。そう思って聞いてるからなのかもしれませんが、より一層感情が表に現れているような、そんな気がします。

どんなに理性ではわかっていても、やっぱり小さくなった”君”を手にしたら涙が溢れて止まらなくて。決壊しそうな気持ちの濁流が後半にかけて、とめどなく溢れて止まらないんだろうなと言うのが歌詞にも、歌声にも現れていて聴きながらこっちまで泣きそうになってきます。

どんな姿であっても、君を抱きしめていられたらよかったのに。そうなんですよね。あぁダメですね、猫とお別れしたときの事を思い出して1人泣いてますよこの人。

 

6.彼は誰

本当にね、いつでも言えるからとかいつか言えばいいからとか、推しはいつでも会えるからとか。そういうことってないんだなって思います。この曲は、後半の台詞部分が全てでしょう。

夜が明けると共に、魂は天に昇ってしまう。彼は誰時の景色って、夜明けっていうシチュエーションってすごく素敵で明るいハズなのに、死者にとってそれは別れを意味するものなんですね。そして、その瞬間に初めて後悔に気づくっていう。言わなくてもわかってると思いますが、誰そ彼と対をなすこの曲。聴き比べると更にこの曲の良さがわかりますので、是非に、何度でも。

 

7.君を掬う

「透明な君を掬う」というアルバムの表題曲は、1曲目と7曲目の2つで完成なんだと筆者は思いました。さあ行こうと踏み出した”私”が旅の末にたどり着いた結論は、”君”の魂が消えた世界であっても”君”という希望を掬い取って前に向かって生きるんだという強くて優しい、まさにnayutaさんの作る歌の世界だなぁというものでした。

悲しみも忘却も全部明日への希望になる。そう気付かされる歌でした。

「透明な君」もそうでしたが、この曲もまた、メロとサビの強弱の付け方とかサビ部分の力の入れ方がすごくすごく素敵で、気持ちがいいんですよね。「生きるんだ ここから」と空を見上げた”私”の顔は、きっと晴れやかな青空だったと思います。

 

”私”と”私”、曲の構成に気がついた時に震えが止まらなかった

このアルバム、1曲目から7曲目にかけてどんどん時間が経過していって、夜が朝に変わるように悲しみが希望に変わっていく。そういう構成なんだなぁと最初に聴きながら物語をあれこれ想像していたんですよ。

でも、M3直前だしちゃんとアルバムの感想をまとめようと思って歌詞カードをじっくり見ながら聴き直していてふと思ったんです。

 

あれ? と。

 

このアルバム、よくよく見ると二人称が変わってるんですよ。「透明な君」「追慕」「灰燼」「君を掬う」では”君”なのに対して、「誰そ彼」「彼は誰」では”あなた”。その事に気がついた時、一気に鳥肌が立つのがわかりました。あぁそうか、筆者はずっと勘違いをしていたんだと。そうじゃなかったんだと。

どこかでちゃんとした解説をしていたらこっ恥ずかしいんで教えてほしいんですが(すぐ修正記事が出ることでしょう)、これ二人の目線で書かれた物語なんですよね。つまり、奇数トラック”私”(女の子)偶数トラック”私”(男の子)の目線で書かれた曲。もっと言うと、奇数トラックは生きている”私”偶数トラックは死んでいる”私”

ちなみに「僕が見つけた綻び」だけ二人称が登場しない上に一人称が”僕”と異質ですが、おそらく”僕”は偶数トラックの”私”の過去なのではないでしょうか。

嘘つきな世界、残酷な世界に気がついてしまった”僕”がその後どういう人生を歩んだのか、どうして死んでしまったのか、突然の事故や病気だったのかあるいは世界に絶望して自ら命を絶ったのかはわかりません(「誰そ彼」で置いていけないと言ってる後悔や情けなさが自死という選択をしたことなのだという解釈も出来ますが、定かじゃありません)。このトラックを外すとしても、1→3→5→7の順序、あるいは2→(4)→6の順序で改めて聞いた時に、なんとなくハッとするものがある気がするんです。というか、ハッとしました。

生と死。ずっとこの2つの目線が交錯していたこのアルバム。

透き通るような歌声と共に歌詞が描く世界にも注目して聞いてもらいたい、そんな一枚です。

 

このアルバムの感想……からは少し外れますが明日、もう少しだけ続きます。よければ、最新作「時薬」を聞いてお待ち下さい。

www.youtube.com

プライバシーポリシー