ゆたんぽを抱いて寝る。

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猫のこと、本のこと、アニメのこと、野球のことetc...思いついたまま、気の向くままに。

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2022.6.12「nayuta 15th Anniversary Live 青の結び目 -Blue Knots-」レポその1(昼の部前半)

初めから終わりまで本当に最高でした

 

前回

青い空の下、ピアノと歌声がどこまでも響き渡る

昼の部は、スペさんことSperioNzさんのピアノとnayutaさんの歌声で構成される、非常にシンプルな構成。シンプルだからこそ、ひとつひとつの音がしっかりと伝わってくる。そんな期待と共に始まった昼の部を振り返っていこう。

 

1.Decillion Encounter

 

イントロの時点で会場の空気が「ざわっ」と泡立ったのを感じたのは、筆者だけではない。公開から1周年を迎えた(公開日時点)この曲で始まるなんて、初っ端から素敵が過ぎる。

4年ぶりのワンマン、久々のリアルイベント。色々な感情が混ざり合って少し緊張気味な、それでもマイクをしっかりと握って真っ直ぐに前を見て歌うnayutaさんの姿に、思わず感情が揺さぶられそうになる。まるで15年前のあの日にインターネットという那由多の空に飛び立った自分を思い出すような、そんな懐かしさと、それ以上に歌が歌える喜びが散りばめられた最高のスタート曲だった。

メロからサビにかけての跳ねるような展開、音源で何度も聞いたハズなのに本当に鳥肌モノだったことをここにしっかりと記録しておく。

 

MC1

盛大な拍手と共に無事1曲目を終えて少しほっとしたのか、硬かったnayutaさんの表情は少し和らいだように見えた。今回のライブテーマは「人と人、人と音の結びつき」だとnayutaさんは語る。メチャクチャ緊張してます。そうはにかみながら話すnayutaさんだったが、4年前のガチガチの緊張と比べたら、むしろ落ち着いてすらいるように見えた。4年の歳月が、様々な経験が、成長に繋がっているのだと、そう感じた。

 

2.この声が届く日

4年前のライブを思い出させてくれる、素敵な楽曲。ピアノ一本という演奏の構成をフルに活かすような、すこしゆったりとしたアレンジが心地よく響いてくる。そう、この南港サンセットホール、音の響きが凄まじいのだ。後述するが、とにかく音のひとつひとつがしっかりと耳に届く上に、特に高音の響きが非常に気持ちよく伝わってくる。

そして、嬉しさと優しさに満ち溢れたnayutaさんの歌声である。例の病魔でなかなか思うようにイベントが出来なかった時期を乗り越え、ようやく大好きな歌を人前で歌うことが出来る。その嬉しさと、それを届けられる喜び。歌声にも、そして表情にもそれが現れていて、nayutaさんの感情が真っ直ぐに飛び込んでくる。オリジナルよりも一層歌詞を噛みしめるような歌声、ずっと覚えていられるに違いない。

 

3.トレセの秘密

13歳で初めて歌を投稿したあの日から13年経って作った、大切な曲。「この声が届く日」もそうなのだが、nayutaさんの楽曲はイントロなしの曲が多い。リアルイベントだから、隣にスペさんが居てくれるから、スペさんがスペシャルなピアノを弾いてくれるから……曲前に目配せをしながら、そういう安心を確認しているように筆者からは見えた。

2曲目に続き、オリジナルよりもゆったりとしたアレンジ。歌い方もそれに合わせ、過去の自分を振り返るような、しっとりとした入り。だけど、歌詞の物語をなぞるようにその歌声は徐々にしっかりと、力強くなっていく。ラスサビ前の消え入りそうな歌声と、そこから繋がっていくラスサビという物語の着地点。それを見事に語り尽くしたnayutaさんの歌声に、すっかり魅了されっぱなしだった。もちろんその背後には、13年の――いや、15年の物語を素敵に彩ってくれたスペさんの素晴らしいピアノや舞台照明の演出があったからだということは、言うまでもない。

 

4.垂直の青の果て

後のMCでnayutaさんが語ることだが、「青」という色はnayutaさんにとって思い入れのある色なのだそうだ。その「青」を存分に生かした照明に、nayutaさんの透き通るような声と、スペさんの切なさたっぷりのピアノが混ざり合い――この曲の、1つの完成形を見たような気がする。

筆者は常日頃から、nayutaという歌い手の魅力は「歌声に感情を載せること」だと言ってきたが、思い入れのある手ずから作った歌であれば尚の事。生きとし生けるものの生命力、生の喜びと死の儚さ、時の流れ、感謝の気持ち……今なおnayutaさんが大切に胸に抱いている物達は、はじめて歌を自分で作ったあの時からずっと変わってない。それを改めて教えられた。

 

5.君を掬う

www.youtube.com

2021年春M3で頒布されたsi-soundさんとのコラボ作品「透明な君を掬う」のラストを飾るトラック「君を掬う」

かつてこのアルバムの感想を記事にした時にも書いたが、この曲を以てこのアルバムは完結する。それくらいラストに相応しい壮大で、前向きで、実にnayutaさんらしさに溢れる曲なのだ。元よりピアノが映えるこの曲が、スペさんの手でより一層素敵に昇華されていく。そしてこの曲を歌うnayutaさんの、儚げで溢れ出る感情で少しだけ泣きそうな歌声に、聞いているこっちまで引き込まれて泣きそうになる。

この曲を南港サンセットホールで聞けて良かった。振り返って改めてそう思う。昔から透明感と、そして高音の伸び、響きが素晴らしいnayutaさん。その要素が、南港サンセットホールの素晴らしい音響効果で何倍にも膨れ上がっていく。それをあの場所で聞けた。こんなに幸せなことはない。最後の「生きるんだ ここから」の力強さとずっと耳に残り続けるほどの余韻は、本当に陳腐な感想で申し訳ないが「素晴らしい」の一言に尽きる。この曲を歌ってくれて、本当にありがとう。

 

MC2

「君を掬う」のしっとりとした雰囲気から一転。ここで、本日の衣装についてnayutaさんは楽しげに語る。

おい誰だ、ポスターの衣装実際に見られることはないだろうけどなんて言った奴。お前だよお前、小一時間程前のお前だよ。

最初この衣装で登場した時、本当にビビり散らした。まさかあの素敵過ぎる衣装をそのまま三次元に落とし込むことが出来るなんて思ってもいなかったから。この衣装が本当に細かいところまで素敵に出来ていて、ぽゆたのアクセや髪飾り等など、細部にまで拘ったのがよく伝わってくる。こればかりは最前中央の約得と言わせてもらおう。

バチクソ可愛い。ずっと見ていたい。

 

そして、次からはカバー曲とのこと。4年前も中々に意表を突くカバー曲を披露してくれたが(そもそもオリジナルがこの4年間で増えまくってる)、さて今回は何を用意してくるのか。

 

6.アクアテラリウム

待て。待て待て待て待て待て。は? いきなりアクアテラリウム? 日頃から「なゆたんとやなぎなぎさんの親和性気持ちよすぎだろ!」と言って憚らない筆者だが(憚れ)、まさか初手でやなぎなぎさんの曲を……それも筆者が大好きな「凪のあすから」の曲を持ってきてくれるとは。しかも、スペさんのアレンジがバチクソ最高だからもうホント……語彙力が溶けるとはこのこと。

照明の演出も相まって、ゆっくりと深い海の中を泳いでいるような、そんなしっとりとした雰囲気に会場全体が包まれる。そこに凛と響くnayutaさんの歌声は、どこまでも澄み切っていて気持ちがいい。

これは筆者の感覚なのだが、やなぎなぎさんとnayutaさんは本質的に”似ている”のだと思う。歌声の透明感はもちろんのこと、歌詞の物語に漂う空気感、それを纏う雰囲気。だからこそ、こんなにもこの2人は”合う”のだと、改めてそう感じさせてくれる1曲だった。

 

7.ウィアートル

昼夜通して、唯一オリジナルを知らなかったのがこの曲。調べてみたら、これもP.A制作のアニメの曲らしい。しかしながら、スペさんのピアノとnayutaさんの歌声にぴったりな楽曲だったように感じた。

サビの高音が、本当にどこまでも響き渡るような心地よさで。かと思えば、スペさんのピアノがそれを包み込むように会場に響いていって。ピアノと歌声。ふたつの楽器が連弾のようにテンポよく綺麗に混ざり合って、いつまでも聞いていたいような曲だった。歌詞の意味をひとつひとつゆっくり噛みしめるように、そしてきっとそれが劇中で流れたときの場面を思い出しながら歌っているのだろう。nayutaさんのおかげでこんな素敵な曲を知ることが出来た。オリジナルも聞いてみたいし、アニメも気になる。まったく、いつまで経ってもこれだから歌ってみた厨は単純でいけない。

 

8.Life

やめてください死んでしまいます。

前奏の時点で会場全体の空気が一気に揺らいだのを、筆者はしっかりと感じ取っていた。それほどまでに、この曲を誰もが待ち望んでいたという証拠に他ならない。この曲に関しては、本当にクソみたいな矜持を誇示するようで悪いが古参ぶらせて欲しい。

パッタリと活動休止していたある日、ふと投稿されたのがこの曲だった。ニコレポで見たんだったかランキングで見たんだったか忘れたが、とにかくこの歌ってみたを聴いた時の衝撃は未だに覚えている。それまでいわゆる「ウィスパーボイスの可愛い声の子」という認識だった筆者のそれをガラリと変えてきたのが、この曲だった。こんなに感情を出せるんだ、載せて歌うのが上手い歌い手なんだ。あるいは、筆者が本当にnayutaという歌い手にどっぷり浸かっていくきっかけになったのがこの曲だったのかもしれない。

9年前のLife、4年前のLife、そして今回のLife。「人はそんなに強くないだけどたしかに形に残るものがある」ここにこの曲の、nayutaさんの思いが全部詰まってるということを聞くたびに教えてくれる、そんな大切な曲を演奏してくれて本当にありがとう。スペさんも、最高のピアノを本当にありがとう。

 

9.you

全てここから始まったんだなぁ。なんて感傷に浸る余裕なんて全然これっぽっちもなくて。スペさんと2人でライブやりますって発表があったときから「もしや」という期待はもちろんあったわけだが、改めてイントロを聴いた瞬間に会場のあちこちから「もうダメだ」という嘆息が漏れたのを筆者は聞き逃しはしなかった。オタクはみんな原点に弱い。筆者はオタクである。故に筆者も原点に弱い(三段論法)。

歌い出しが本当に丁寧で、しっとりとしていながらも、それでいて芯が通っている。原曲ともまた違った、これはもうyou(nayuta ver)という1つの楽曲として確立している安心感のようなものを感じながら、自然と目はうるうるとしていた。

色々御託を並べてきたけれど、やっぱりnayutaという歌い手の原点にして聞く者全てを魅了する物、それはこの圧倒的な透明感なのだ。はじめて聴いた時の衝撃が、聞くたびにどんどんアップデートされていく。15年の月日の積み重ね、そしてこれからもずっと歌い続けていってくれるだろうという楽しみ、いろんなものが混じり合って本当に素敵なyou(2022ver)になっていた。

 

前半戦は、ここまで。

後半戦もお楽しみに。

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