これ、地味にめんどくさいよね
前座さんも人間だから その1
寄席は面白い場所です。出演者はもちろん、いろんなお客さんがいるのが面白いところですよね。例の病魔が流行る前だと缶ビール片手に千鳥足で入ってきてずっと寝てるオッサンなんてのは平気でいましたし、芸人に話しかけちゃうタイプのちょっとアレな客も結構いましたし。えぇ、LITさんそういう人は気にしませんよ。
後ろからずっと隣の女性に薄っぺらい知識を自慢してるオッサンの声が聞こえて仕方ないとしても、気にしませんとも。
なんでいつもそんな座席に当たるんですか!!!!
いつかの、浅草演芸ホール。
土曜日なんですが、この芝居が蝶花楼桃花師匠の初トリということもあって開場から人が多い日でした。
しかしながら、もうすっかりボブに目が慣れましたね。いやはや、ホントお綺麗で……
って、そうじゃなくて。
途中までは平穏無事に進んでいた寄席、仲入り前はこの日代演の春風亭一朝師匠。
江戸の風を感じさせてくれる、実に粋な師匠です。
一朝師匠の前を務める柳家小満ん師匠がハネた時、事件は起きました。
前座「おなーーーかーーーいりーーー」
舞台袖から前座さんの声が響きます。
が、幕は降りる様子もなく。番組表を見ても、仲入りは一朝師匠のあと。少しざわつく客席とは裏腹に、一朝師匠の出囃子が流れます。そして、一朝師匠が優雅に高座に上がります。
拍手が止み、顔を上げ、
一朝師匠「えー、『お仲入り』なんて声が聞こえましたが……」
あー……これは派手にしくじったなぁ。とはいえ、なかなかないしくじりを見られてちょっとおもしろかったのはここだけの話。前座さんにしてみたらそれどころじゃないでしょうけども。
前座さんも人間だから その2
三連休中日の24日、長崎に行ってきました。
いやぁ楽しかったなハウステンボス
なんてことは当然なく。
長崎は長崎でも、東京の長崎です。
今夜の山野楽器の落語会は少な目のお客様。僕はいつも一所懸命。鰻の幇間に尼狐、目黒の秋刀魚、空治はつるに権助魚と魚動物特集。季節は夏から秋へ。9月24日は長崎寄席。東京の長崎。家から近くて良いね。土曜日なので、是非お越しを! pic.twitter.com/kBZL1zUSrq
— 桂文治 (@11bunji) 2022年9月20日
東長崎ひびきホールで開催された文治師匠の独演会に行ってきました。
会場入りしてパンフレットを見つつ、開演まであと10分くらいだなぁと思いながら待っていると、スタッフさんが後ろから声をかけてきました。
「お客様すみません、ちょっと外によろしいでしょうか」
待って、初めて来た会場でいきなりなにかやらかした?
木戸銭もちゃんと払ったし、悪いことなにもしてないですよ????
一抹の不安を抱えながらホールの外に出ると、そこには何故か文治師匠の弟子で前座の桂空治さんが長襦袢姿で立っています。
「前座の桂空治でございます」
もちろん存じ上げてます。それよりこの状況は一体?
「実はわたくし、本日帯を忘れまして」
師匠の着物忘れたっていうしくじりはよく聞きますが、まさか自分の帯忘れるとは珍しい。
「ついては、もしお客様が下締めしてらっしゃれば、帯を貸していただくことは――」
偶然にも、この日は着物。締めてるのはネットで2,000円のクソ安い帯ですが、それでもよければと快く帯を貸すことにしました。
そこそこ寄席に通ったり独演会に行ったりしている筆者ですが、まさかプロの噺家さんに帯を貸す日がくるとは思いませんでした。こんなレア体験、誰もしてないのでは?
ちなみにこの件、しっかり高座でネタにしてもらえたので筆者としては大満足です。