家を売る場合の話です
家を売るとき、そこにドラマがある
仕事柄、家の売却に携わることが少なくない。中には先祖代々住み続けた家を泣く泣く売却することになった人や、自身が高齢者施設へ入る支度金として自宅を手放す人もいる。自宅を売却するに当たり、当然中の家財や家電は次の住処に持っていったり、不要なものは処分することになる。
ちょうどいいお題だったので、思い出に残っているエピソードを書き起こしていこう。
タンス預金数兆円もあながち嘘じゃあない
高齢者宅の家財整理を行っていて、必ずと言っていいほど出てくるのが現金だ。小袋に入った十円玉の束から、金庫に仕舞いっぱなしになっている札束、どこの国のものとも分からない外国紙幣など、発掘される現金は実に多様である。弊社スタッフが家財処分に立ち会うのだが、出てきた現金は必ず一円単位で数え、本人に報告を行う。当然、小銭が多ければ多いほどその手間は膨大になっていく。
「日本のタンス預金は数兆円にも及ぶ」などという話を聞いたことがあるだろうか。昔の筆者はこの話を鼻で笑っていたものだが、この仕事を初めてから真実味を帯びるような物件に幾つもあたってきた。タンス預金の最高額は4000万円を超える。1000万円オーバーの家はゴロゴロあって、本人に尋ねると決まって「銀行は信用ならん」と言われる。余談だが、現金で数千万円お持ちの方は口座に更に数千万入っていることが多く、90歳を超えて尚総資産が億超えなどというケースも珍しくない。
頼むから遺言状を書いておいて欲しい。残す相手がいない資産は、最終的に国庫へ帰属する。せっかく貯めた資産を国に取られるくらいなら、誰か親しい友人に残すなり世話になった人に譲るなりした方がよほど生きた金なのだから。
それはいつの? 誰の?
次いで筆者が担当した案件で多かったのが、御遺骨だ。骨壺に入ったまま弔いが済んでいない遺骨が、そのまま自宅に置いてあるケースが多い。勘違いしている人が多いのだが、日本の法律では死後いつまでに納骨をしなければならないという決まりはない。法律で決められているのは、死亡届の届出日だけだ。火葬の期日もなければ、埋葬の期日もない。高齢者が高齢者を看取った場合、火葬後の手続きがなかなか進まなかったり本人の拘り(あるいは全く拘りがないが故に)でそのまま自宅に納骨が済んでいないままの御遺骨が放置されている事が多いのだ。
自宅を出た本人が、より小さな賃貸住宅や賃貸マンションへ越すのであればまだ良い。そのまま持って行くことが出来るのだから。しかし、引越先が老人ホームの場合はそうも行かない場合がある。ホームにも依るが、私物の持込が制限される可能性がある。前項で記した現金も同様で、持ち込めない場合現金であれば口座へ入れれば良い話だが、御遺骨は何らかの方法で弔う必要がある。菩提寺があれば菩提寺に、無ければ市区町村で運営している霊園等を利用することになるが、一朝一夕でどうにかなる問題ではない場合が多く、その手の案件を専門的に引き受けている寺社に一定の金額を納めて弔って貰うケースも多い。
問題は、件の御遺骨が一体誰の物かわからないケース。そんなことあるの? と言われそうだが、実際にあるのだから事実は小説より奇なり。本来であれば骨壺に同封されているである埋葬許可証すらないケースが多く、その場合は更に混迷を極める。遺骨はきちんと葬ることも、終活の一つとしてキッチリ進めてほしいものだ。
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