ゆたんぽを抱いて寝る。

ゆたんぽを抱いて寝る。

猫のこと、本のこと、アニメのこと、野球のことetc...思いついたまま、気の向くままに。

ゆたんぽを抱いて寝る。

読書メモ「最後の魔法」駄犬(新潮文庫nex)

 

正直、記事にするかどうか迷いました

先日購入した、駄犬先生の「最後の魔法」を読み終えました。

感想としては、ただ一言「面白かった」これに尽きます。己の文章力の低さが露呈する結果でしかありませんが、お読みになった方なら筆者からこの感想しか出てこない、その理由がおわかりなのではないでしょうか。

えぇ、そうです。何を書いてもネタバレになってしまいそうなのです。

タイトルにしても、内容にしても、どこを切り取ってもネタバレになってしまう。本作は、つまるところそういう物語なのです。という書き方ですら、何かを予想させてしまうのではないかと、戦々恐々としながら筆を執っています。

 

ただの感想です

この本に描かれているのは、はじめから終わりまで「桜子」の物語であり「凛」の物語であり、二人のかけがえのない青春の物語です。魔法使いの家に生まれた桜子と凛が小学校で出会い、親友になり、桜子の魔法に魅了された凛と、凛のおかげで魔法使いになることを決意した桜子。

痛ましい事件のおかげで魔法が、魔法使いという存在がネガティブに見られた時代の残り香が漂う世界で、それでも凛は桜子の魔法の魅力に虜になっていきます。魔法が起こした「結果」ではなく、その「過程」を含め――あるいは、その過程も全部ひっくるめて美しさなのだと、読者は凛の視点を通して気付かされます。おとぎ話の、あるいはゲームのような派手で奇跡のような力は出せないし、5分の詠唱で10秒だけのちょっとした現象でしかないのですが、凛にとっては世界で一番、何よりも美しい光景だったのでしょう。

そんな親友の二人の道は、大学に入って徐々に分かれていきます。

魔法使いとしての才能を開花させ、同時にインフルエンサーとして古い魔法使いの体質をガラリと変え、次第に世界へと羽ばたいていくことになる桜子と、対象的にごくごく普通の大学生活を送ることになる凛。どれだけ二人が培った時間が長くとも、目まぐるしく変化していく環境は、二人の間に心の距離を作っていきます。桜子に連絡するのを躊躇う凛でしたが、あるいは桜子もまた、同じ気持ちだったのかもしれません。無論、それは筆者の想像でしかないことですが。

大学を卒業する頃には、二人の人生は完全に大きく分かれます。普通の企業に入って普通の恋愛をして普通の結婚をして子宝に恵まれた凛と、子供の頃からの研鑽が実を結び、また、大学時代に培った技術と人脈をフル活用して、世界に名を馳せる魔法使いとして躍進し続けていく桜子。しかし、凛の心にはいつだって桜子が宿っていたのです。凛桜(りお)と名付けられた子供は、きっと将来自分の名前の由来を聞いて喜ぶに違いありません。だって、それほどまでに凛と桜子は親友なのですから。

高校を卒業して十二年の年月が流れ、ついに二人は再会を果たします。魔法は人を幸せにする。初めて魔法を目にした凛に宿った気持ちと同じものを、筆者も感じる最高のハッピーエンドでした。

 

とまぁ、非常に良質な凛と桜子の人生を綴った青春物語でしたね。本当に、良かった。本当に。と言ったところで、筆を置きましょう。

願わくば、未読の方でこの記事にたどり着いてしまった人のうち、一人でも購入して読んでくれることを。そして、既読の方からの「そうだよね」という静かな頷きがもらえることを。

プライバシーポリシー