ゆたんぽを抱いて寝る。

ゆたんぽを抱いて寝る。

猫のこと、本のこと、アニメのこと、野球のことetc...思いついたまま、気の向くままに。

ゆたんぽを抱いて寝る。

【ネタバレ有り】2024年3月16日「Makihara Noriyuki Concert 2024 “TIME TRAVELIING TOUR” 2nd Season 〜Yesterday Once More〜」感想レポ②【槇原敬之】

安心安定の今治タオル

 

その①はコチラ

l-i-t.hatenablog.jp

 

「I need you」「BLIND」「THE END OF THE WORLD」

90年代縛りは続く。厳密に言うと続くという表現はおかしい。最初から最後まで90年代縛りなのだから。

マッキーが「僕が歌いたいと思って、今回のツアーに入れてみました」と告げた曲はアルバム「UNDERWEAR」より「I need you」である。

いや、いやいや「I need you」なんて。マジかよ。この曲もこれまでの曲同様、今までずっと音源は聞いていたけれどコンサートでほとんどかからなかった曲だ。ここまでの曲でもそうだし、00年代以降もそうなのだが、マッキーの楽曲はイントロが総じて素晴らしい。ましてや、これを今のマッキーバンドの演奏で聞けるのだからその感動はなおのことである。一瞬で湿っぽい雰囲気を作り出す演奏陣と、感情たっぷりに歌い上げるマッキーの歌声が、どこまでも溶け合って会場全体が脳裏に同じ光景を共有しているような、不思議な感覚に包まれる。

大きな拍手に続いて、これまた何度も聞き慣れたイントロが流れる。アルバム「Cicada」より「BLIND」である。「Cicada」(=蝉)というアルバムタイトルからも分かる通りマッキーには珍しい夏の雰囲気が漂うアルバムの中でも、この曲は特に切なくて、湿っぽくて、それでいてどこまでも強がっている、マッキーの描く恋愛物語の主人公らしい主人公が存分に描かれている。ここまで来るとマッキーもだいぶ肩の力が抜けてきたのだろう、時折バンドメンバーと目線を交わしたり合図を送り合ったりするような場面も見受けられる。本当にこのコンサートを楽しみにしていたのだろうというのが、三階席までまっすぐに伝わってくる。そしてこの曲は松本さんのピアノが本当に生きていた。宜候から再びツアーに加わってくれて、本当に感謝しか無い。

バラード、バラードと来て(というかここまでバラード曲多めの構成)、更にバラードが続く。再び「UNDERWEAR」にアルバムは戻りアルバム中でも珠玉のバラード「THE END OF THE WORLD」が流れる。90年代に生まれたメロディを、2024年のギターとベースの音色が彩る。一人ひとりが最高のアーティストであるマッキーバンドの演奏だからこそ、この曲をあの当時に生み出した槇原敬之というシンガーソングライターの天才加減がよくわかる。とにかく演奏陣のレベルの高さが随所に表れている。それでいて、歌声との親和性が高い。何度もリハーサルを重ね、苦楽を共にしてきた仲間とのステージが楽しいというマッキーの気持ちが伝わり続ける一曲となった。

ラストの「ちょっと見たら 普通の恋人同士」というフレーズの余韻は、鳴り止まない拍手と共に会場に響き続けていた。

 

MC

ここで恒例となった、衣装紹介。

マッキーのコンサートステージ衣装を手掛けるのは、今回も勿論BEAMSである。前回のコンサートに引き続き登壇してくれたのは、すっかりお馴染みBEAMSの久保窪さんだ。今回の「90年代」というテーマを受けて作成された衣装の秘密や、継ぎ接ぎになっているマッキーのスーツに隠された秘密を存分に、楽しそうに語る窪さん。本当にマッキーコンサートには無くてはならない、重要な存在である。

「知らんけど」ひとしきり語ったあとにお決まり(?)の台詞を残して去る窪さんを見送り、コンサートは続く。「初めて東京に出てきたときの歌」と聞いて思い出すのはそう、あの曲しかないだろう。

 

「三人」「キミノテノヒラ」「うん」「LONSOME COWBOY」

軽快なタッチの松本さんのピアノイントロと共に、曲が始まる。筆者にとっては6年前、TTT1stの宮城公演で聞いて以来の生演奏「三人」だ。「三人」であったり「東京DAYS」であったり、マッキーが東京に出てきた当初の思い出を描いた曲は、歌うマッキーの表情もこころなしか優しさが増しているように見える。当時を思い出しながら、当時見た景色や嗅いだ空気の匂いを思い出しながら歌っているのだろうか。そこにバンドメンバーの演奏が加わり、一気に華やかな楽曲に仕上がる。そしてここまで聞いてやはり思うのは、演奏におけるドラム音の大切さだ。何度も紹介しているが、今回はドラムの屋敷豪太さんが曲によって音源が変えられるよう電子ドラムにそれぞれの曲に合わせた音源を用意してコンサートに臨んでくれた。スネアドラムの音一つ、ハイハットの音一つが音楽における印象にここまで大きく関わっていたのだと、それを90年代へのタイムトラベリングツアーというコンセプトを完成させるために完璧に用意してくれたのだと、演奏を聞きながら改めて感動した。

さて、本公演で個人的に1番の問題作(?)が次の「キミノテノヒラ」だと筆者は勝手に思っている。というか、唯一筆者が知らない楽曲がこの「キミノテノヒラ」だった。終演後に調べて驚いたのだが、シングル版「SPY」のカップリングだというから本当に驚きである。ことここへ至ってアルバム未収録曲(※コンピレーションアルバムには収録されているが)である。本気で90年代に染めようとしている。それと同時に、20年追い続けてもまだまだ知らないマッキーの昔の楽曲があって、それを今から新しい楽曲として楽しめる、好きになれるのだというワクワクが詰まった一曲だった。ガチ初見である。花屋に転職した友人に会いに行った時の思い出話を歌にしたという前解説だったが、今も昔も変わらない日常の一コマにこそ幸せが転がっているというマッキーの歌の世界が優しく、暖かく広がっている楽曲だった。素敵な楽曲を本当にありがとう。大好きな歌がまた一つ増えた瞬間だった。

次もまた、松本さんのピアノから曲が始まる。「宜候」で久々にツアーメンバー入りしたと思ったら、本当に松本さん頼りの楽曲が増えた気がするのは筆者だけだろうか。いやしかし、この「うん」という曲はもう、ピアノ有りきの楽曲なのだから仕方がない。と、同時にこの曲はもうひとり、名パーカッショニスト大石真理恵さんの演奏が際立って光っていた。日常の更にもっとよりパーソナルでミクロなワンシーン、あるいは「うん」というワンフレーズを切り取った素朴で、それでいて愛情に溢れたこの曲にピッタリなパーカッションの演奏が、マッキーの優しい歌声とマッチして名曲をさらに名曲たらしめてくれる。ピアノで始まり、ピアノで終わる。本当に完成された名曲だと改めて感じた。

前半ラストを飾るのは「大阪にいた頃、移動手段が原付だったんですよ」というマッキーの前説でピンと来た人も多いのではないだろうかという楽曲。筆者も”原付”というフレーズでピンと来てしまったのと同時に、「こ、この曲もやってくれるんですか!?」という気持ちで叫びだしそうになってしまった。何度だって言うが、今までコンサートで(アルバムツアーを除いて)やってこなかった楽曲なのだ。アルバム「PHARMACY」収録時点でも完成され尽くしていた音源を、2024年最新の最高のマッキーバンドの演奏で聴けるという嬉しさは、図り尽くせない。三拍子で西部を思わせるようなサウンドに欠かせないギターの音が、たまらなく格好良い。原付に名前をつけちゃうマッキーの気持ちが、車を手放して原付に乗っている今の自分に深く突き刺さる。目をつぶれば夕焼け空がミラーに映る光景がしっかりと浮かんでくる。この歌の主人公の年齢からはとっくに離れているけれど、ようやくこの曲の良さがわかるような年齢になったような、そんな気持ちにさせられる時間になった。

 

MC

ここでトイレタイムという名の眺めのMCコーナー。そして、ことここへ至ってようやくマッキーの口から「槇原ドリル」について言及されるという。TikTokに疎い筆者のようなおじさんでも、流石に「もう恋なんてしない」がTikTok界隈で流行っていたという事実は耳にしていたが、まさか本家本元マッキーの口から槇原ドリルの話が出るとは思いもしなかった。

このバズリのおかげで最近は若い子、特に女子高生から声をかけられることが増えたのだとか。何がどうやって流行するかわからない世の中ではあるが、世代を超えて愛される楽曲になっているというのはファンの一人として嬉しい気持ちで一杯である。あと最近また太ったのだとか。タバコ辞めると太るという話をよく聞くが、それに加えて甘いものまでたっぷり食べてるらしいので、そりゃあ太る。でも、声は出ているしなによりマッキー本人が今とても幸せそうなのでそれが1番である。コンサートの最中、何度「楽しい」と口にするマッキーを目にしたことか。筆者も楽しいし、きっとここに集ったかつて高校生だったファンたちも、初めてマキハラを聞くという若い子たちも、きっと楽しさを感じていたのではないかと思っている。

さぁ、コンサートも後半戦。ここから怒涛のヒットソングラッシュが続いていく。

 

その③に続きます。

プライバシーポリシー