ゆたんぽを抱いて寝る。

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2023.3.13 墨亭「桂文治の会」

楽しかったー

 

ずっと大好きな師匠です

落語を聞き始めたきっかけは、実は意外にも落語と全く関係ないところからでした。

昔ずっと聞いていたアニラジのパーソナリティーの方が事あるごとに噺家さんの名前や落語のネタを絡めた話を出すんですよ。柳家喬太郎師匠のお名前とか、禁酒番屋のネタとか。

ラジオっ子あるあるだと思うんですが、パーソナリティーの言ってることってリスナーとしても共感したいじゃないですか。それで調べるようになり、たまたまYoutubeで見つけたのが10代目文治師匠の「禁酒番屋」でした。それがまぁ面白いのなんのって。いつか生で拝見したいなぁと思っていたのですが、実はその時点で10代目は既に鬼籍に入られていて。それで、文治の名前はどうやら弟子の平治師匠が継ぐらしいぞというところまで調べて、ネットで聞けるものを聞いて……一度そこで離れてるんですよね。浅く広く、熱しやすく冷めやすく、再燃しやすいタイプのLITさんです。

時は流れて、数年前のこと。

また落語熱が再燃して寄席や落語会に足を運ぶようになり、ちょこちょこ寄席で高座を見る機会も増えてきたある日のこと。遠征の日に見られる落語会を調べたらたまたま当代――11代目文治師匠が小さな寄席小屋でもって会をやるよというのにぶち当たりまして。それが去年の墨亭さんの会です。

l-i-t.hatenablog.jp

間近で見る文治師匠のド迫力の高座、本当に引き込まれるものが有りました。

そっからですかね。文治師匠の高座が楽しみでいろんな会に行かせていただくようになったのは。だから、ちゃんと追いかけてるのってまだ1年足らずなんだなぁと改めて知ってびっくりしてます。寄席で見てるのはもうちょい前からですけどね。

 

旅からの代演からの3席

もはや恒例になった仕事終わりダッシュの末、なんとか開演前に到着。予約が少ないと嘆いていましたが、なんとなく見知った面々の後ろに並びます。木戸銭を払い、2階に上がると何度も足を運んだ高座と和室。ちなみに墨亭さんは電子マネーが使えるので、現金持たない派の人も安心です。

 

1.まんじゅうこわい 桂空治

墨亭さんの会も、丸2年だそうで。師匠から教わったネタも2周目に突入しそうな中、かけたのはおなじみまんじゅうこわい。フル尺で聴くことが中々ないネタですが、表情といい間のとり方といい、本当にお上手なんですよね。高座でとにかく笑いを取っていくスタイルは、まさに当代文治師匠の姿そのもの。

マクラも含めゲラゲラと笑いました。いつも師弟でネタにし合ってるの本当に素敵です。

 

2.子ほめ 桂文治

黒紋付に羽織姿で高座に上がった文治師匠。本当に黒紋付が似合う噺家さんだなと、見る度に思います。初めて寄席に来たお客さんのためにということで、かけたネタは子ほめ。前座噺なんて言われていますが、次々と笑いを取っていくのはさすが売れている実力派の師匠だなと感じる一幕でした。

びっくりしたのは、この日は浅草の代演のあとだったということです。更に言うと、前日までは仙台の花座、山形の噺館で会をやってきたあとだと言うから驚きです。声の調子が良くないとおっしゃっていましたが、それでも力強い、笑いの絶えない高座でした。

 

3.浮世床 -夢- 桂文治

街の床屋さんっていうのがかつては集会所みたいな、憩いの場だったんだなっていうのがよく伝わってくる、江戸情緒ある噺ですよね。江戸の町人らしいバカバカしい噺なんですが、表情豊かで間髪を入れず笑いを取っていく文治師匠は、見ていて本当に楽しい。

源平やお血脈でもそうなんですが、噺の組み立てが非常に上手で、それでいて笑いのツボをしっかりと押さえてくれるんですよね。だから何度聞いても笑いが溢れるし、何度も聞きたくなる。仲入り前に疲れるくらい笑いました。

 

4.強情灸 桂空治

最初に言っておきます。めっちゃ笑ったしめっちゃ合ってる。

やっぱりね、文治師匠の芸って表情と声と勢いがあると思うんです。もちろんやればいいってもんじゃなくて、そこに間のとり方だったり仕草だったり様々あるんですが、その辺が見事に出てるのが強情灸って噺なのかなと。

空治さんがねぇ、ホントにこの噺は上手。もう見てるだけでお灸が熱そうのなんのって。我慢してる表情や声の感じが文治師匠そっくりで、やっぱり師弟なんだなぁと感じました。

 

5.普段の袴 桂文治

武家さんを演らせても、マヌケな町人を演らせても、あるいは花魁を演らせても、文治師匠は本当に粋な高座を見せてくれるなと感じます。普段の袴はまさにマヌケな町人の代表的な噺なんですが、もう見てて笑いが止まらない。

前に空治さんが演った強情灸のこともちょっとイジりつつ、熱さで引きつった表情なんかはもう見ててこっちが心配になってくるほど鬼気迫る表情で。初めて見た人にも何度も見ている人にも伝わりやすくて爆笑な、そんな高座でした。

 

来月は土曜日の夜

帰り際、今日は文治師匠がお見送りをしてくれました。

色々話しながら(同じ練馬区民なので駅を言っただけで「あー、あの辺ね」と伝わるの助かります)、また来ますとお伝えをして。大きなホールでたくさんの人を前に派手にやるのもいいですが、こういう小さくてアットホームな寄席でのびのび演る師弟を見るのもいいものです。

文治師匠、空治さん、席亭の瀧口さん、ありがとうございました。

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