まさに、極上。
みんな大好き『焔』の過去編いよいよ登場です
スパイ教室の短編はまじで短編として切り離すには惜しい程に内容たっぷりで、極上な内容ばかりでした。しかしながら、竹町先生も言及している通り短編はあくまで短編。短編集を読まずとも、本編はしっかり楽しめる内容になっているのは間違いありません。
ただし、本作という例外を除けばの話ですが。
いつもと違って「本編派の人もこの短編集05だけは是非読んで!!」と竹町先生すら声高に宣伝するほどの本作。その言葉通り、まじでスパイ教室を愛する読者なら読んでおいて損はない、どころか得しかない極上の一冊に仕上がっていました。本記事では盛大にネタバレしながら感想を書いていくので、未読の方は今すぐブラウザバックを。読んだ後にネタバレだなんだと言われても筆者はまるで知りません。
『焔』と『灯』たまに『鳳』が微妙に関わり合ってるの極上でしたね
基本的に『焔』の過去編というかもっと具体的にクラウスの過去編として進行する本作なわけですが、実のところ『灯』の過去編としても描かれているのがまじで極上ポイントです。
ギードと一緒に挑んだ任務で戦った相手の子どもが後に「百鬼」の名を持って『灯』に加入するジビアだったり、ルーカスが『焔』
にスカウトしたがってた鷹(もちろん全員に止められた)と繋がりのある少女はもちろん「草原」サラに他ならないでしょうし、ゲルデと邂逅した議員が言う「醜い娘」はどう考えても「愛娘」グレーテでした。
本編ではクラウスが『焔』の意思を継いで作り上げた組織が『灯』だと思っていたんですが、図らずもこうやって繋がりが生まれていたのだと思うと、なんとも不思議な縁を感じるものです。
謎に包まれていた『焔』の実態が克明に記録されていて極上でしたね
ここが個人的な極上ポイントなんですが、今まであまり本編で語られてこなかった「煽惑」ハイジの姿や生き様、性格をたっぷりと描いてくれた竹町先生には感謝しかありません。直接対峙したギードや既にティアとの関わりが本編で描かれていたフェロニカ等と違い、これまであまり描かれてこなかったハイジ。メスガキ感もありつつそれでいてお姉さんなところもありつつ、異能持ちという要素も明かされつつ……いやぁ非常に良かったですね。
そして、全ての元凶というか原因というかキーになっていると思われる《暁闇計画》。なんのためにギードが『焔』を売り『蛇』についたのか、その覚悟が垣間見えたのも大変良きでした。相変わらず計画の全容はまだまだ見えてこないですが、それはきっと『灯』が辿り着いた時に我々も目の当たりにすることでしょう。
兎に角、『焔』がクラウスを愛し同時にクラウスもまた『焔』を愛していたのだというのが、ありありと伝わりました。だからこそ、ラストの場面は震えが止まらなかったです。そのあたりの、それこそクラウスも知らない『焔』壊滅の謎もきっと、『灯』が解き明かしてくれると期待しています。
本当に極上な短編集でした。
「なんやかんや」って何!? ねぇ、「なんやかんや」ってLITさん聞いてませんよ!!
えぇ、聡明なる読者諸兄もきっと同じことを思っているに違いありません。
問題のシーンは第四章です。具体的にはP250から始まる場面です。「呪師」との戦闘及び拷問で負傷したクラウスとハイジは宿泊場所のホテルに向かうわけですが、シャワーを浴びたハイジに促されるままベッドに入り、そして、
――なんやかんやあった。
そのまま朝を迎えた。
(本文より)
いやいやいやいや、「なんやかんや」って何があったんですか竹町先生!!!! まさかあの朴念仁が服を着て歩いてると思ってたクラウスが、まさかまさか……ってことがあったかもしれないわけですよね!?
いやまぁ真相はいずれ明かされるとあとがきでも明言されていたのでそのいつかを楽しみにしながら待ちますが……いやぁ、あの場面はまじで「は?」となりましたね。
本編も短編もやっぱり極上だよ
次はおそらく本編が進んで、どこかでバラバラになってた『灯』の1年間をまとめた短編が出るみたいです。ティアとモニカの様子は本編11でも触れられてますが、ほかのめんばーがどんな活躍をしていたのかも気になるポイント。もちろん、本編の進行も楽しみでなりません。
極上の物語を楽しみに、これからも読み続けたいものです。