ゆたんぽを抱いて寝る。

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猫のこと、本のこと、アニメのこと、野球のことetc...思いついたまま、気の向くままに。

ゆたんぽを抱いて寝る。

2024/05/11 栄町会館「桂文治 自分のための落語会」(お客様:桂空治)

毎度楽しい会です

 

「最近の若い噺家は揃いも揃って年中単で季節感てものがない」大好きな師匠がそう言うものだから

先週5月11日はお天気にもまれ、絶好の洗濯日和でした。気温も25℃まで上がる予報が出ており、これはいよいよもって袷の着物は卒業だなと、そう思っていました。が、ふとここで今日の主催11代目桂文治師匠の高座での言葉を思い出します。

 

文治「最近の若い噺家は、みんな冬でも単なんですよ。季節感ってのが大事なんです。僕はほら、袷を着ておりますから」

4月の墨亭でしたでしょうか、こんな小言を言っていました。たしかに和服で生きようキャンペーン継続中の筆者としても、季節感は遠い昔に置き去ってきたものです。いやだって暑いし。しかし、師匠の仰ることもまた真理。

ということで、

家出て5分で後悔した。暑いわ。

 

笑って笑って笑い疲れて満足して

すでに汗だくで会場に着くと、時間は開演15分前。いい頃合いです。すっかり「着物で来てる人」という認識を得られつつ、いざ開演。

 

権助魚 桂しゅう治

小文治師匠門下の、しゅう治さん。最近は寄席でもよく見る顔です。かけた根多は、おなじみ権助魚。小文治師匠から教わったのかどうか定かじゃありませんが(持ってるとは思うけど)、どことなく所作や間のとり方が小文治師匠っぽいなと思って見てました。これで違う師匠から教わった噺だったら赤っ恥ですが、やっぱり師弟って似るんだなと思った、そんな高座でした。

 

大山詣り 桂文治

先月の墨亭に続き、今年二度目の文治師匠の「大山詣り」でした。熊さんの熊さんらしさや周りの連中の悪戯心等、とにかく場面の描写が上手い。やっぱりプロだなぁと見るたびに驚かされます。このダイナミックで、それでいて笑いを忘れない姿勢が文治師匠の何よりの魅力ですね。途中の展開を少しだけ(本当にほんの少しだけ)変えられたのは、まさかの先日の歌舞伎コラボの結果だとか。今年はまだ何度か見られますかねぇ。

 

お見立て 桂空治

お洒落な羽織で高座に上がった空治さん。京都の呉服屋さんで誂えたという羽織はとても良くお似合いで、本人の喜びが客席まで伝わってくるようでした。あとやっぱりホームとも言うべき栄町会館ですから、安心感も相まってのびのびとやれたんじゃないかなと思います。

さて、この「お見立て」という根多。廓噺なんですが、そこは師匠譲りの笑いをふんだんに取りに行くストロングスタイル。見ていて気持ちがいいですね。個人的に良いなぁと思ったのは、最後の場面。墓を次々と間違えて(というか正解はないんですが)サゲへとつながる部分があるんですが、この「間違い」を「間違い」とわかるよう丁寧な、すこしテンポを落とした口演が印象的でした。

 

人形買い 桂文治

八っつぁんと熊さんが、赤子の祝いに長屋連中から集めた5円でなんとか儲けを出そうとあれこれ奔走する噺。筆者はたぶん、初聞きかもしれません。話の方はなんてことない、ずる賢い町人の儲け企みと結局うまく行かないいつもの流れのあれです。

いやぁ、笑った笑った。表情や仕草もそうだし、断続的に笑いがあるものだから、聞いていてずっとニコニコしてましたね。特に最後、小僧がベラベラと喋るシーンからサゲへの展開がまぁ面白いのなんのって。実はまだこの噺続くらしいんですが、あのサゲで終わりってのがいいのかもしれませんね。

 

人は暑いときには黙って単を着るものなんだよ

終わって席を立つと、背中にはびっしょりと汗をかいていました。家に帰ってまずは陰干し。カビでも生えようものなら泣いてしまいます。もうそろそろホントに単で過ごしたい。いや、でも師匠がそう言うなら尊敬する身としてはこのまま5月を袷で過ごすのが筋というものでしょう。

 

 

 

 

よしわかった、明日から木綿解禁だ。

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