ゆたんぽを抱いて寝る。

ゆたんぽを抱いて寝る。

猫のこと、本のこと、アニメのこと、野球のことetc...思いついたまま、気の向くままに。

ゆたんぽを抱いて寝る。

2024年6月16日 新宿末廣亭(昼の部)

実にいい顔付けでした

 

10代目文治師匠、生きていたら100歳の年でした

今日は、記事のタイトルにもある通り新宿末廣亭の昼席へ行ってきました。昼の部主任を務めるのは、11代目桂文治師匠。芸協の理事にして、芸協きっての爆笑派です。何度も寄席の高座を見ているし、各地の落語会にも行っているほどに好きな師匠がトリを取る、それも先代の文治師匠の生誕100周年記念興行と銘打った特別寄席になっていると聞いて、そりゃあいかねばなるまいと。厳密に言うと5月に池袋でも同じ興行をやったんですが、のっぴきならない理由で5月の連休は忙しかったのでね。なんとかこの芝居に足を運べて本当に良かったです。

開場の30分ほど前に着いたのですが、久々に並んでいた知らない御婦人に着物を褒められるなどして上機嫌のLITさんがそこにいたわけですが、まじで普段着として着ている着物そのままでやってきた手前ちょっとバツが悪かったのはココだけの話です。

 

いい顔付でずっと笑ってました

前座が上がったあとの二ツ目交互、昨日までは弟子の空治さんが出ていたのですが今日からの5日間は兄弟子の鷹治さんが高座に上がります。師匠にならって黒紋付で上がる姿は、すっかり文治一門という出で立ち。「熊の皮」は師匠から教わったネタでしょうか、ところどころ鷹治さんらしい部分もありつつ、自然と笑いが起きる。さすがは文治一門といったところでした。

先代文治一門交互枠、一人目は桂右團治師匠です。先代文治一門にしては非常に珍しい新作・古典の二刀流の師匠なんですが、実力は流石と言わんばかりのそれです。筆者は古典も新作もどちらも聞いていますが、今日かけたのは新作「完全マスター」という上方ゲストを迎えたこの芝居らしい演目です。大阪弁をマスターするためにアプリで……というなんとも現代らしいネタなんですが、これがまぁ面白いのなんのって。大阪弁の「行けたら行く」が関東では「行かない」なの、関西の知人がまじでそういう使い方をしていると聞いていたので、非常にわかりみが強くて笑っちゃいました。

先代文治交互枠、二人目は桂伸治師匠です。もうね、出てきただけで面白いっていう芸人としては最高峰ですよね。ヒザ前で上がる笑遊師匠といい伸治師匠といい、本当にああいう生き方がしてみたいと思わせる、そんな芸人です。伸治師匠は今日が初日なのでなんとなく「粗忽の釘」あたりかなぁと思ってたんですが(寄席でよくかけるので)本当にその通りで。それも、下ネタ強めっていうね。いやはや、これぞ寄席の芸です。夫婦の馴れ初めをあそこまでしっかりと演る噺家もなかなか居ない(だいたいあの場面は削られることが多い)中、しっかりやり切るっていうね。流石です。筆者は大爆笑でした。

その後に鶴光師匠が上がるんだからどうなるのかと(下ネタ被りで)思っていたら、こっちは「紀州」ですか。「お血脈」や「源平盛衰記」と同じく地噺なわけですが、まさか今ホットな松鶴跡継ぎ問題から上方落語協会のあれこれやら、もう色んな話を織り交ぜつつずっと爆笑。ラジオ等ではどうしてもエロに寄っていきがちなイメージのある鶴光師匠ですが、やっぱり高座を聞いていると流石六代目笑福亭松鶴一門という実力がメリメリと伝わってきます。どこまでやったか忘れたまま高座を降りるあたりは、なんとも鶴光師匠らしいサゲでしたね。

仲入りと座談会(後述)を挟んで色物で登場したのがナオユキさん。もうね、筆者はナオユキさんの漫談が死ぬほど好き。酒場の酔っ払いを面白おかしく描き出したこのスタイルがね、たまらなく好き。割とまじでトリが誰かよりも顔付けにナオユキさんが入ってるとそれだけで寄席に足を運んでしまうくらいには好きです。今日も絶好調。まじで好き。

ヒザ前に上がった笑遊師匠もこれまた良かった。ほんとね、自由の一言。出てくるだけで面白いし、落語やったらやったでちゃんと面白い。それでいて、全然プレッシャーらしいプレッシャーを感じない。なのにしっかり爆笑。なんなんでしょうかね、本当に凄い芸人だなって見るたびに思わされます。たぶん文治師匠がトリの芝居には必ず入っているからあの位置で上がるのを見る頻度が高いってのもありますが、どこで入ってもちゃんと爆笑取って次に繋げられる、本当に凄い師匠だなと改めて感じました。

さぁそしてトリで上がった文治師匠。折り返し一発目の今日かけたのは「子ほめ」です。前座噺と言われればそのとおりなんですが、だからといってウケないかと言われりゃ決してそんなことはない。むしろこのネタでもちゃんと笑いが取れるっていうのがいかにも実力派って感じがしますよね。話の筋は一緒なんですが、間のとり方だったり上下の振り方だったり声の大きさだったり仕草だったり、本当にちょっとした違いが笑いの有無につながるんだなぁと実感する、そんな高座でしたね。藪蛇かもしれませんが、もしかしてこのあと誰かに教えるのに高座でさらった……なんてことはないですよね、きっと。知らんけど。

大満足の顔付けでずっと笑いっぱなしの4時間でした。あー楽しかった。

 

座談会と書いて暴露大会と読め

筆者が楽しみにしていたのが、仲入り後に入っている10代目文治一門+縁のある噺家による座談会……なんですが、最早先代文治師匠のあれこれについて暴露しまくるっていう暴露大会になってたのは笑ってしまいました。っていうか、司会の鯉朝師匠がまじで大変すぎる。あの暴れ馬みたいな連中をよくもまぁしっかり導きながら座談会を進められたものです。

座談会の内容は、各所で当代文治師匠が話していることから筆者は本当に初めて聞く話まで実に様々あって、それを高座に上がったみなさんが面白おかしく喋るものだから本当におかしくておかしくて。エピソードの多い先代文治師匠だからこその理不尽話。寄席の高座ですら話せない下世話な話。いやはや、これを生で聞けただけで行った甲斐があったというものです。

 

そんなこんなで楽しい日曜日になりました。来月は歌丸師匠の追悼公演が上席にありますし、毎年恒例の伯山先生芝居も下関に控えています。流石に伯山芝居は人気がありすぎて行くかどうか定かじゃありませんが、寄席は楽しいのでまたふらっと行くと思います。

プライバシーポリシー